くまさんぽ

三連休、友人から「谷根千」なる場所に散歩しようと言われたのですが、恥ずかしながら都民かぶれの埼玉県民であるところの私には、どこを指す地名なのか検討もつきません。
聞くと、根津・千駄木駅周辺とのこと。なんと通勤経路ではありませんか。
それなら、ということで「谷根千」を男25歳2人、ブラブラしてきました。


駅から通りに出た辺りではは特段代わり映えのする町ではないのですが、少し細い通りに入ってみると、昭和のたたずまいを残した古い民家が、狭い路地に隔てられて立ち並んでいます。そこかしこに、豆腐屋さんがあったり、和菓子のお店があったり、粋な小物屋があったりと、風情たっぷり。東京独特の喧噪もなく、歩く人のスピードもどことなくゆったりとしている気がします。

なんとなく、「ちい散歩」に出てきそうな場所だなと思いながら歩いていたら、ばっちり取材時の写真が貼ってありました。後で調べたところによると、結構有名な街歩きスポットなのですね。



通勤経路であるにもかかわらず、降りたこともなく、こんな街並みがあることさえ知らなかったわけですが、考えてみれば東京に来てから、こうやって「ある場所を、偶然見つける」という体験がほとんどありません。その事を友人に話すと「東京で移動するときはピンポイントで目的地があるからね」とのこと。なるほど。確かに東京に出てからあてもなくダラダラ歩く、ということはあまりしていません。それこそ金沢にいたときは、古い街並みの中をぶらぶらと練り歩いたりしたものですが。単純に知り合いがいなかったということもあるかもしれませんが・・・


東京では目的のない場所にはたどり着きにくいように、街ができているように感じます。
車で移動する事は少ないし、電車網も高度に発達しているので、駅から歩いて遠出することもありません。


それはそれでとても合理的で、素晴らしいと思うのですが、なにかの折に、ふと目に付いた景色に心奪われるという経験が少なくなってしまうのは、なんとも勿体なく感じます。

自分の目的と少しでも異なるもが目に入らないのでは、自分の感性も狭まってしまうような気もしますしね。今年は、そういったものが自然に目に入るよう、少しだけ活動範囲を広げてみようかと思いながらぶらぶらと歩くのでした。